学びのすゝめ
筆者:岩田屋本店 本館7階 学IWATAYA担当 因幡
―はじめに
皆さま、「ナンタケットバスケット」をご存知ですか?
アメリカのセレブリティたちが愛用し、日本でも雑誌などによく取り上げられ、“永遠の憧れ”として人気を博しているので、「もちろん知っているわ。」という方も多いかもしれません。
大統領就任式などの公式の場でも持つことが許される一品で、ジャクリーン・ケネディやオードリー・ヘップバーンも愛用したとされるバスケット。
そんな魅力あふれるバスケットは「作家」が作った名品を購入するだけではなく、実はご自分で作ることも出来るんです。
今回は学 IWATAYAの「ナンタケットバスケット講座」にフィーチャーします。
―講師紹介
日本ナンタケットバスケット協会 公認インストラクター 『新山みどり先生』
大のかご好きで、雑誌でナンタケットバスケットを見て魅了されたのがきっかけで受講生として教室に通う。その後講師の勧めもあり、認定インストラクターの資格を取得。
ナンタケットバスケットの魅力や、その制作にかける思いなどを伺いました。
―美しい島「ナンタケット島」
ナンタケットバスケットは、アメリカ東海岸、ボストンの南に位置する小さな島『ナンタケット島』で生まれました。避暑地として人々を惹きつけている島でもあります。船から見る島はいつも霧に曇り、別名「グレイ・レディ」と呼ばれているそうで、写真で見る限りでも建物が統一された街並みに深い青の海が輝いていて、とても美しい島ですね。
18~19世紀にかけてナンタケット島は捕鯨で栄え、あの世界十大小説と評されているハーマン・メルビルの小説『白鯨』(1851年)の舞台にもなっているんですよ。
―“憧れ”のナンタケットバスケットをつくる
ナンタケットバスケットは、型に沿わせながら編む数少ないバスケットです。
写真右は「モールド」と言われる型です。左はバスケットの底に当たる「ベースプレート」です。
そしてバスケットを編む素材は「籐」です。モールドの丸みに沿って縦軸の「籐」をセットし、それにそって横軸を編みこんでいきます。ここが腕の見せ所で、いかに緻密に編み上げていくかで作品全体の雰囲気や完成度の高さが現れます。受講生の皆さまはお教室でもやり始めると没頭して、「え、もう教室終わりの時間⁈」なんてことも。近くで見ていても細かい作業ですが、徐々に形が出来上がっていくのを見ていると手が止まらなくなってしまいそうでした。
ナンタケットバスケットの魅力の1つとして、『装飾品』のカスタマイズがあります。
取っ手の素材や色、カービング(小さな彫刻)というバスケットの蓋の上につける装飾品をご自分のお好みで飾ることができます。
パーツ1つで印象ががらりと変わりますし、自分だけのバスケットになるので愛着がさらに湧きますね。
また、バスケットだけではなくてアクセサリーも作ることができます。
写真はバングルとアクセサリーです。ミニバスケットはとても可愛いですが、作り方は通常のバスケットと同じということで驚きました!これからの季節にぴったりのアイテムです。
―受け継がれるナンタケットバスケット
ナンタケットバスケットは、経年変化が美しい一品です。
使い込むごとに艶が出て、良い飴色に変わっていきます。使い始めはフレッシュでかわいらしい印象だった作品も、時を重ねていくごとにその美しさも増し重厚感を醸し出します。
作りたて
約7年使用
シンプルで洗練されたバスケットは、流行とは一線を画しいつの時代にも愛されるデザインですので、おばあさまからお母さま、そしてお孫さまへ、受け継いでいくことが出来ます。
―思いを込めて編んだ作品をハレの日に
アメリカの南の島で生まれたバスケットですが、実は和洋どちらの装いにも合う汎用性の高さも持ち合わせています。
ドレスに合わせることはもちろんですが、お着物にもぴったりです。和装で人とは少し違ったおしゃれなものを持ちたいという方にはおすすめです。
デニムにざっくりと大きめのバスケットを持つカジュアルスタイルも良いですね。
また、ご自分用にだけではなく贈り物として制作される方もいらっしゃるそうです。
大切な方のハレの日のために思いを込めて編んだバスケットを贈るというのは、とても素敵なお話ですね。結婚式のドレスにも、成人式の振袖や七五三のお着物にも、お祝いの席にそっと花を添えることが出来ます。
―最後に
ナンタケットバスケットは、セレブリティにも愛される“ファッション”としての印象が強かったのですが、今回歴史の深さやその技術の高さに触れ、ナンタケット島の“伝統工芸品”としての側面を知りました。
これが世界中の人々から愛される所以なのだと思います。
そんな素敵なバスケットを自分の手でつくるというのは、きっと特別な時間ですね。
また、新山先生がお話の中で「幾度作っても、ここはもう少しこうした方がよかったなとか、次はこうしよう。と思って次に取り掛かります。終わりがないんです。」と笑顔で仰られていて、
これこそが“学ぶ”楽しさなのだなと感じました。
ご興味をおもちいただけましたら、ぜひ学 IWATAYAの受付にお立ち寄りください。
作品を展示していますので、「籐」の色艶の美しさや「カービング」の繊細な彫刻の技術を実際にご覧いただきたいです。
皆さま、お待ちしております!
次回は「宮田美紀子先生」の「~部活気分で女子カメラ~写真撮影の基本とコツ(野外編)」 の講座に潜入したいと思います。お楽しみに。
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