学びのすゝめ
筆者:岩田屋本店 本館7階 学IWATAYA担当 堤田
皆さま、今トレンドカルチャーとしてお香がブームになっているのをご存知ですか?
ここ最近、高級ブティックや百貨店コスメブランドショップでお香のアイテムが並んでいるのを見かけるようになりました。
20代の私からすると、お香のイメージって、おばあちゃん家の和室にあった仏壇のお線香や縁側の蚊取り線香のような、どこか懐かしいような、言葉は良くないけど、少し古くさいイメージでした。
しかしコロナ禍になっておうち時間が増えた時期に、ファッションブランドやコスメブランドがお香をスタイリッシュなデザインとして生まれ変わらせると、次第にお部屋のインテリアとして楽しむ人や、お香を焚いて疲れた心をリラックスする人が増えました。社会情勢の変化もあり、お香ブームが到来しているのだと思います。
そんな今ホットな’’お香’’について、今回は学IWATAYAの「お香遊び」の講座にフィーチャーします。
香司(こうし) つる子 先生
東京の薫物屋香楽で香の勉強をしたことがきっかけで、2007年から香を広める活動をされています。
現在は学IWATAYAの講師のほかに、定期的に松風園や鴻臚館などでお香のイベントをされている先生です。
この日はつる子先生から特別レッスンをしていただき、実際の講座同様に、お香の歴史について学び、実際に香原料を調合して自分だけのオリジナルのお香づくりを体験してきました。
―香の歴史
まず初めに簡単なお香の歴史から。
お香は中国から仏教伝来とともに、飛鳥時代に日本へ伝わったと言われています。
その後、日本史の教科書でもお馴染みの、鑑真和上が唐から薬草や香原料を持ち込み、調合技術を広め日本でお香の文化が広がっていきました。
平安時代にはその優美な香りから貴族には欠かせないものになり、その後次第に大衆にも普及していき、現在までお香の文化は引き継がれています。
―香の調合
ではいよいよ、香原料を調合してオリジナルのお香を作っていきます。
と、その前に ’’香原料” とは何かというと…
自然界にあるさまざまな原料(木や木の皮、木の根っこや樹脂など)を粉末状にしたものです。
とはいえ、少し想像がつきにくいですよね。
実際にはこのような感じ。色も異なり、一つ一つから違う香りがする、一見カレーのスパイスのようなもの。
一つ一つの香原料でも非常に良い香りがしますが、このさまざまな種類の香原料を混ぜ合わせていくことによって深みのある香りになります。自分の感覚と創造を膨らませながら調合していきます。
ただ最初は、香原料によって全然香りが違うので、混ぜ合わせたときにどんな香りになるのか全く想像もつきません。
そこで、つる子先生からのアドバイス。
香原料には、5つの香り=(五味) ①甘い ② 辛い ③ 苦い ④ 酸っぱい ⑤ 塩辛い
があり、この五味を意識しながら香りを調合していくと良いそう。
五味を意識しながら香原料を小さなスプーンですくって、すり鉢で細かく混ぜていくことで少しずつ香りが変化していき、これを繰り返して香りを整えていきます。
そしてこの調香表に自分が調合した香原料を書いていき、自分だけのレシピを完成させていきます。
つる子先生曰く、調合したレシピは基本的には「秘伝」ということで、今回作った香りは自分だけの秘伝のレシピとして大切にしたいと思います。
そしてついに完成!
8種類の香原料を調合して出来上がったお香がこちら!
写真ではどんな香りがするか伝わらないですが、「広南桂皮」というシナモンの香りがする香原料を調合したため、エキゾチックな深みのあるアジアンな香りが出来上がりました。
今回は、袋に入れてもらいましたが、実際の講座では、和紙に香りをつけて手紙を作り、開いた瞬間に良い香りが広がる文香(ふみこう)や
小さな布袋に入れて持ち歩くものを作ったり、塗香(ずし)といって香水のように体になじませたりなどさまざまなお香の楽しみ方を教えてくれます。
また寝る前にリラックスしたいとき、朝起きてリフレッシュしたいとき、やる気や集中力を高めたいときなど、さまざまなシーンでのお香の楽しみ方も学ぶことができます。
タイトルで記した「香りを聞く」。
これはどういう意味かというと、お香はただ単に香りを嗅ぐのではなく、”体の五感で香りを感じて香に向き合う”という意味が込められており、つる子先生の講座でも「香りを聞く」という言葉を使います。
本当に素敵な言葉だなと感じたので、今回のコラムのタイトルにしました。
また今回、つる子先生に特別レッスンをしていただき感じたことは、習いごとは何をするかも大切だけど、周りの環境や誰に学ぶかも大切だと思いました。
私は4月から学 IWATAYAの担当になり、本日初めてつる子先生にお会いしましたが、本当に笑顔が素敵で優しい先生でした。つる子先生の生徒さんも和気あいあいとした雰囲気で、とても楽しそうな教室です。
このコラムを見て少しでも気になった方は学 IWATAYA までお越しいただけると嬉しく思います。
ぜひ皆さまのご受講をお待ちしております!
次回は「新山みどり先生」の「ナンタケットバスケット」の講座に潜入したいと思います。お楽しみに。
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