美術

第57回西部伝統工芸展

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2023/05/23

[展示内容]陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸(硯、截金、七宝など)

 

九州・山口・沖縄には、古くから伝えられた多彩で優れた工芸技術があります。本展はこの伝統的な技術を受け継ぎ、練磨し、現代的美意識のもと今日の暮らしに即した新しい物をつくり上げることを目的とした展覧会です。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸(硯、截金、七宝など)の7部門の公募作品のうち、「自由作品の部」と「用と美の部」の入賞、入選作品268点を展示いたします。多くの方にご高覧いただき、現代という時代に向き合い、伝統工芸の新しい方向性を探ってまいりたいと存じます。

 

■作品解説[期間中、毎日正午から約40分]*日曜日のみ午後3時からの2回開催

5/31(水) 正午から 福島善三[陶芸]重要無形文化財保持者、日本工芸会西部支部幹事長、57回展鑑査委員(用と美の部)

6/1(木)   正午から 築城則子[染織]日本工芸会西部支部副幹事長、57回展鑑査委員(自由作品の部)

6/2(金)   正午から 溝口 堂央[人形]日本工芸会西部支部幹事、57回展鑑査委員(自由作品の部)

              正午から 江里 朋子[諸工芸]日本工芸会西部支部幹事)

6/3(土)   正午から 髙森 誠司[陶芸]日本工芸会西部支部幹事、57回展鑑査委員(自由作品の部)

6/4(日)   正午から 鈴田 滋人[染織]重要無形文化財保持者

              午後3時から 渡 仁[陶芸]日本工芸会西部支部幹事   

6/5(月)   正午から 松崎 森平[漆芸]日本工芸会西部支部幹事

         河野 祥篁[木竹工]日本工芸会西部支部幹事

 

◎主催:公益社団法人日本工芸会、公益社団法人日本工芸会西部支部、朝日新聞社

◎後援:文化庁、山口、佐賀・大分・沖縄各県、福岡・熊本・宮崎各県教育委員会、福岡・熊本各市、福岡市教育委員会、西日本新聞社、沖縄タイムス社、九州朝日放送、KKB鹿児島放送、KAB熊本朝日放送、OAB大分朝日放送、NCC長崎文化放送、QAB琉球朝日放送、朝日カルチャーセンター、NHK福岡放送局

◎お子さまの安全のため、小学生以下の方は必ず保護者の方同伴でご入館ください。

福岡展会場運営:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

※三越伊勢丹グループはサステナビリティ活動の一環として「西部伝統工芸展」を開催し、芸術振興に取り組んでいます。当社グループのサステナビリティ活動についてはこちら

受賞作品

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朝日新聞社大賞

一重経間道帯「踏青」盛 かおる(染織)

【受賞者の言葉】

今作の「青踏」は、いつも私の中にある自然への憧憬、光と陰をテーマに縞・紋様・色で表現いたしました。経密度の高い博多織では自ずと直線的で縞が強い印象となるのですが、点で打った細い縞の地と絹糸の艶をより多く活かせるようデザインした紋様により、全体で捉えると無地のように見えるが、角度によって表情を変える玉蟲色(たまむしいろ)の世界を表現いたしました。

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日本工芸会賞

釉象嵌花器 中尾 純(陶芸)

【受賞者の言葉】

釉象嵌という施釉した鉢に別の釉薬を埋め込んでいく技法を大きな特徴とした作品です。それとともに基本となる鉢の形状を大切に考え、釉象嵌が入っていない白磁の作品としても成立する形を目指し、そこにどう釉象嵌をマッチングさせ活かしていくかを考えました。その中で、釉調と形状による白磁のもつ陰影と釉象嵌のもつ光の部分とのコントラストを見て頂けたらと思います。

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日本工芸会西部支部長賞

琉球紅型訪問着「うむい(思い)」城間 栄市(染織)

【受賞者の言葉】

沖縄の先人達は中国、日本という大国に挟まれながら、様々な文化を吸収し表現してきました。琉球から続く思い、戦争でも守られてきた思い、変化の激しい現代においても、その想いに耳を澄ませてみたいです。

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西日本新聞社賞

花籃「夜想曲」久富 夢庵(木竹工)

【受賞者の言葉】

竹のもつ風合いと5弁の花びらからなる櫛目編みのグラデーションで夢想的な夜想曲が奏でられるように、夜の美しさや儚さ、切なさを表現しました

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福岡市長賞

陶彫紙貼彩色「飛鳥春曜」中島 広量(人形)

【受賞者の言葉】

飛鳥時代から白鳳時代にかけて、私なりの想い描く飛鳥の地をテーマといたしました。衣服や紋様については伎楽(ぎがく)の装束や現存する刺繍等から取材をしました。仏教的風土を漂わせて牧歌的な印象を持たせたくて、春の柔らかな陽光を受けてくつろいだ子どもの姿を意匠化してみました。色彩や配色については発想を自由にして思い入れを強くしました。

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熊本市賞

鉄刀木拭漆皿 戸田 純一(木竹工)

【受賞者の言葉】

木工旋盤(ロクロ)により成型した後、縁に彫りを施した作品です。彫りを加えることにより生まれる面の表情と杢目の調和に留意しました。鉄刀木(タガヤサン)は名前の通り硬く重く加工しづらい面のある材ですが、材の持つ独特で重厚な雰囲気を活かし、樹木として生きてきた長い年月を感じられるような作品にしたいとの思いで制作しました。

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九州朝日放送賞

木版摺更紗着物「煌陰」鈴田 清人(染織)

【受賞者の言葉】

今回の出品作は棕櫚竹(シュロチク)という植物をモチーフにしています。陰側からスケッチした際、山谷状の葉へ差込む光により黄色と深緑の鮮やかなコントラストが現れており、その美しい印象を作品へ込めました。木版摺更紗という木版と型紙を用いた技法で、生い茂る葉の連続が1つの風景と感じるように、そして内側から周りを照らしているような着姿の表現を目指しました。  

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沖縄タイムス社賞

紋紗帯「みずかげ」松田 えり子(染織)

【受賞者の言葉】

たくさんの草花や野鳥が姿を見せる自然豊かな室見川近くで、作品をつくっています。四季折々の美しい景色が、水面に映し出されます。その恵み豊かな流れを、藍色とグラデーションに込めました。

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朝日新聞厚生文化事業団賞

彩釉刻線鉋組平皿 熊谷 智久(陶芸)

【受賞者の言葉】

今回、西部伝統工芸展出品にあたり、彩り(釉薬)にこだわりました。グレートーンをベースに、マスキングで濃淡による変化を表現しています。おもて面と側面には、小石原焼の特長である「飛びカンナ」模様をほどこし、艶とマットで仕上げました。修正点はまだありますが、今後も作品作りに精進してまいります。

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KKB鹿児島放送賞

截金飾筥「花游」江里 朋子(諸工芸)

【受賞者の言葉】

ここ数年、コロナ禍に出逢い今までの当たり前だった生活が当たり前ではなかったと気付かされ、改めて日々無事に過ごせていることに感謝の念が生まれました。身の回りにある美しいものに気づき、愛でることができることに幸せを感じます。長く寒い冬が終わり、色とりどりの花が咲き、さわやかな風に乗って蝶が舞う、心躍る春の景色をおもい制作しました。

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KAB熊本朝日放送賞

朴楠拭漆八角飾箱 川元 英満(木竹工)

【受賞者の言葉】

天板の朴(ほお)の木の美しい青緑色の特徴を生かし豊かな清流を表現しました。側面の楠木は奥深い森林をイメージし凹凸をつけ仕上げました。素材によって色んな表現ができ創る楽しさを感じています。

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OAB大分朝日放送賞

紅型帯「綾海」小泉 美里(染織)

【受賞者の言葉】

ダイビングを体験した際に見た、色鮮やかな魚たちが悠々と泳ぐ姿や太陽光がきらきらと差し込む海中の美しさを表現したく制作しました。また、主となる海中とそれを引き立てる白い砂浜を1枚の型でリズム良く波のように表現できるか挑戦し、染地白地の対比に試行錯誤しながらデザインしました。

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NCC長崎文化放送賞

鉄釉鎬鉢 八児 祥太郎(陶芸)

【受賞者の言葉】

大らかで柔らかな自然の中にも、シャープさ(緊張感) のある様を表現しました。このような緑。この色-若干に汗ばむ季節に生い茂る草木のような緑-を生かせる表現として、鎬(しのぎ)を用い、ぬるくなりすぎないように口はキリッと、高台には全体を支えているようで僅かに不安定なアクセントを。

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QAB琉球朝日放送賞

久米島紬着尺 縦ヒチサギートリ矢絣4玉

毛利 玲子(染織)

【受賞者の言葉】

私が久米島に移り住んで初めて久米島紬を見た時、インドネシアの布とどことなく似ているな、と思いました。その後、絣の技は、昔、インドネシアからアジアの島々を渡って沖縄に伝えられ発展した事を知りました。そんな織物の道を思い巡らせこの図案を描きました。泥染めの黒地にサルトリイバラの赤の緯絣(よこがすり)で点々と続く道。琉球藍を明るく染めて経絣(たてがすり)とし、道と道の間にある海をイメージしました。

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奨励賞

炭化点象嵌壺 福吉 千里(陶芸)

【受賞者の言葉】

象嵌している一つ一つの粒には形や色等一つとして同じものがありません。そのようにバラバラな個が集まって作られる形や模様を表現したいと思い作陶しています。また、自然の雄大さを形に閉じ込めることができないかと考え、今回の作品では、波の不規則な動きから発想を得て制作しました。

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奨励賞

小倉織帯「矗矗」内山 啓大(染織)

【受賞者の言葉】

この度、受賞した作品名には『矗矗-チクチク』と付けました。「直立してそびえ立つ」という意味があります。この作品を図案化する際に、この熟語を知り、今作のイメージに合うと感じ選びました。縞模様である小倉織の特徴が活きる様に、地色を無彩色のグラデーションで濃淡の変化を付けながら、そこにハッキリと色が見える部分とボンヤリと色が見える部分の対比を同系色で配置しました。この表現から鑑賞者に作品意図が少しでも伝われば幸いです。

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奨励賞

久留米絣着物「海深くから」松枝 崇弘(染織)

【受賞者の言葉】

水族館の巨大な水槽の水底から、明るい海面を見上げた時、無限の諧調を持つ青のグラデーションを見ました。また、水面に降り注いだ太陽光は鋭くも優しく水中を照らしていました。藍の濃淡と絣の幾何学模様でどのように表現すればよいのか、模索しました。

用と美の部のご紹介

用いることと美しさを兼ね備えた「用と美の部」の工芸品。暮らしに取り入れやすく、思わず手に取ってみたくなる作品ばかりです。ぜひ会場でご覧ください。

 

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日本工芸会西部支部賞

黒柿截金香合「憧憬」

河野 行宏(木竹工)・江里 朋子(諸工芸)

【受賞者の言葉】

黒柿は個性の強い材なので、截金を調和させることが一番の難関だったと思います。面取りの部分に施された截金は髪の毛ほどに細く、その繊細さに感動しました。またその下地を黒く彩色されていることが作品全体を引き締め、黒柿の良さを生かしていると思いました。一人ではできないもの。まだ見ぬ作品に思いを馳せ、その想いを「憧憬」の題に込めました。 河野 行宏

 

九州国立博物館で開催されていた「よみがえる正倉院宝物」展で黒柿と金泥の作品を拝見したことが制作のきっかけでした。希少で個性的な黒柿の杢目を活かすことを第一に、そのままでも美しい品格ある形をより美しく、面取りの部分にのみ黒く彩色し、截金の文様が作品を引きたてられるよう心掛けました。 江里 朋子

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岩田屋三越賞

網代ワンハンドルバッグ 近藤 雅代(木竹工)

【受賞者の言葉】

網代編みのバッグは、「和」のイメージが強いものが多く、現代的なものを作りたいと思い制作しました。網代の籠は、縁の取り付け時に、編み生地の口を狭めて縁に入れ込みますが、狭めた形が面白いなと以前から感じていました。それを今回、デザインに取り入れてみました。編み目のラインが美しく見え、竹の弾力が感じられるかなと思います。

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鶴屋百貨店賞

悦びのショール 坂口 智美(染織)

【受賞者の言葉】

太さの違う4種類の絹糸と、染料に月桃・コチニール・どんぐりを使って制作しました。特にこだわったのはピンクの色です。洋装にも和装にも合うような落ち着いたピンクを染めたかったので、月桃で下染めをした後コチニールを掛けました。華やかすぎないこっくりとしたピンクの色がとても気に入っています。身に纏うと心が弾む、そんなショールを織りたいと思いました。

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朝日新聞厚生文化事業団賞

白磁五方組小鉢 中尾 純

【受賞者の言葉】

実用性がありながら作家の顔が見える作品。用と美の部において、生活に即したものづくりをする上で、二つの「美」を考えながら制作しました。一つは実用性を追求して見えてくる「美」。もう一つは作り手自身が考える「美」。前者は形状や大きさ、重さなどを考慮し、後者は作家の持つ技術や技法などの作家の個性。この二つの「美」が互いの良さを残しながら交わる所で生まれたのがこの作品だと思います。

重要無形文化財保持者の作品ご紹介

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白磁菊彫文鶴首花瓶 井上 萬二

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色絵薄墨墨はじき境躑躅文鉢 十四代 今泉 今右衛門

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中野月白瓷壺   福島 善三

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木版摺更紗帯「猩」 鈴田 滋人

新型コロナウイルス感染症の影響を受けられた皆さまに、こころからお見舞い申しあげます。

ご来場に際し以下の内容について、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

●会場内では、常にマスク着用をお願いいたします。

●会場混雑を避けるため、入口でお待ちいただく場合がございます。

●体温が37.5度以上の方およびマスクを着用されていない方のご入場をお断りする場合がございます。

 

※掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。

※作品には非売品もございますので、ご容赦ください。

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