ピース de ミライ
「ピース de ミライ」の企画の一環として企業からご紹介いただいた端材や規格外反などの素材を「ピース」に、ファッションスクールの学生たちが作品づくりに取り組む「岩田屋三越ミライアワード」。
少人数での個別指導を軸に、業界経験者や現役のプロから実践的に学べる環境を整え、一人ひとりの個性や「やりたいこと」を伸ばす教育を大切にしている「ヒロ・デザイン専門学校」の学生たちがエントリー。参加作品は岩田屋本店のウインドウにて、下記の期間にご覧いただけます。
◆展示会期
2026年10月14日(水)〜10月27日(火)
◆展示場所
岩田屋本店 きらめきウィンドウ
第2回 岩田屋三越ミライアワード (2026年開催)作品のご紹介
ピースdeミライ「ミライアワード」に挑戦した2人が、同じ素材と向き合いながら、それぞれの感性で作品を制作しました。
一人が描いたのは、自分自身が変化し、新しい世界へ踏み出していく「孵化」。
もう一人が描いたのは、日常を少し忘れ、心が躍る「遊園地」。
同じ素材から生まれた、まったく異なる2つのミライを制作者の思いとともにご紹介します。
変化を受け入れ、新しい自分へ
浅田 実穂
『COCOON → 孵化』
作品コンセプト
繭の中で少しずつ姿を変え、やがて外の世界に出ていくように、私自身もこれまでの経験を受け止めながら、次の自分へ変わっていく途中にいると感じています。
身体を包み込むようなシルエットで内側にある可能性を表現。そこから大きく広がる形で新しい自分へ踏み出そうとする気持ちを表現しました。
東レのUltrasuede®を使ってみて感じた素材の魅力や発見
ウルトラスエードのなめらかな表面や、光の当たり方によって表情が変わるところに魅力を感じました。
一方で、表現したかった立体的なシルエットは簡単には出せず、素材の落ち方や重なり方を見ながら何度も調整しました。実際に扱うことで、素材の特徴を理解しながらデザインすることの大切さを感じました。
制作の中で最も苦労したこと、こだわったことは何ですか。
一番苦労したのは、「繭から孵化する」という変化をシルエットで表現することです。形を大きくしすぎると重く見え、逆に抑えすぎるとテーマが伝わりにくくなるため、全体のバランスには特にこだわりました。
正面だけでなく、横や後ろから見たときにも「包まれている状態から広がっていく変化」が感じられるよう制作しました。
今回の制作を通じ、環境に配慮したものづくりについてどのように考えましたか。
今回の制作を通して、「サステナブル」とは環境に配慮した素材を選ぶことだけではないと感じました。素材の特徴を理解し、その良さを活かしてつくることや、長く大切にしたいと思えるものをつくることも大切だと思います。
日常のなかに、心躍る瞬間を
託麻 唯夢
『遊園地』
作品コンセプト
「遊園地」をテーマに、非日常的で心が躍るような世界観を服で表現しました。
遊園地には、子どもの頃に感じたワクワク感や、日常を忘れて楽しめる特別な時間があります。その「夢の中にいるような感覚」を、素材の立体感やシルエットで表現しました。
作品を見た人にも、少しでも日常を忘れて楽しんでもらえたらと思っています。
東レのUltrasuede®を使ってみて感じた素材の魅力や発見を教えてください
なめらかで上品な質感がありながら、加工によってさまざまな表情を出せるところに魅力を感じました。
今回は、立体的に仕上げたいパーツだけに糊付けをして硬さを出しました。必要な部分だけ加工することで、素材の質感を活かしながら、形や表情を変えられることを発見しました。
制作の中で最も苦労したこと、こだわったことは何ですか
一番苦労したのは、頭の中にある遊園地のイメージを、実際に服として成立させることです。
遊園地らしい楽しさを表現しながら、衣服としてのシルエットやバランスも崩さないよう、立体的な部分の形や大きさを何度も試しました。見る角度によって楽しめることにもこだわっています。
今回の制作を通じて、環境に配慮したものづくりについてどのように考えましたか
制作前は、廃棄を減らしたり、環境に配慮した素材を使ったりすることがサステナブルだと考えていました。
でも今回、素材の特徴を活かして新しい価値を生み出すことも、環境に配慮したものづくりにつながると考えるようになりました。
二人の学生が描く未来
左から:託麻 唯夢さん、浅田 実穂さん
ーあなたが思い描く「ミライ」とはどんなものですか。
浅田さん:「変化を前向きに受け入れながら、自分らしく成長していける未来」
私が思い描く「ミライ」は、変化を前向きに受け入れながら自分らしく成長していける未来です。今回の作品で表現した『孵化』のように、人もさまざまな経験を重ねながら、少しずつ新しい自分へ変わっていくものだと思います。私自身も、その変化を楽しみながら、自分らしい表現を広げていきたいです。
また、ファッションの面では、デザインだけでなく環境への配慮も当たり前に考えられる未来になってほしいです。例えば、環境負荷の少ない素材を選ぶことだけでなく、素材の特徴を活かして無駄を減らすことや、長く着たいと思われる服をつくること、必要以上につくりすぎないことも大切だと考えています。
流行だけを追って短期間で消費するのではなく、一着を長く大切に着てもらえるようなものづくりが増えることで、ファッションを楽しみながら環境にも配慮できる未来につながると思います。自分らしさと環境への意識、その両方を大切にできるものづくりをしていきたいです。
託麻さん:「日常の中に小さなワクワクを生み出せる未来」
私が思い描く「ミライ」は、服を着ることがただ身につけるだけではなく、見たり、触れたり、日常の中に小さなワクワクを生み出せる未来です。
今回、「遊園地」をテーマに制作したことで、服には人の気持ちを動かし、普段とは違う世界を感じさせる力があると改めて感じました。だからこそ、これからのファッションでは、環境に配慮することだけを目的にするのではなく、「こんな服を着てみたい」「この服をずっと大切にしたい」と思ってもらえるような、心が動くものづくりが大切だと思います。私自身も、素材の可能性を引き出しながら、着る人の記憶に残るような服をつくり、服を通して日常を少し特別にできるデザイナーになりたいです。
「変化を前向きに受け入れながら、自分らしく成長していける未来」を描いた浅田 実穂さん。
「服を通して、日常の中に小さなワクワクを生み出せる未来」を描いた託麻 唯夢さん。
同じ素材から生まれた作品でありながら、そこに込められた想いや表現は、それぞれに異なります。
一つの素材と向き合い、自分なりの答えをかたちにする。
そこから生まれた二つの作品は、私たちに「これからのものづくり」を考えるきっかけを与えてくれます。
二人が描いたそれぞれの「ミライ」。 ぜひ会場で、作品に込められた想いとともにご覧ください。
ファッションの未来を担う学生が、「ピース de ミライ」でチャレンジしたこととは?
ヒロ・デザイン専門学校 のお二人に、作品制作段階でお聞きしたインタビュー記事はこちら。
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