美術
加納典明展「ピンクの犬」では、加納典明が自ら足を運び撮りためてきた写真をキャンバスに印画し、アクリル絵の具で加筆した「ピンクの犬」シリーズの最新作を展覧いたします。加納典明は、独特のインパクトを持つ過激な作風の写真家として知られていますが、2010年頃から写真家としての活動と並行して絵画作品の制作をはじめました。自身の過去の写真をキャンバスに印画し、そこに描きこまれた「ピンクの犬」は、写真と絵画の垣根を超えた表現を探究する作家自身を象徴しているかのようにも感じられます。唐突に現れる「ピンクの犬」は画面上に危うい違和感を生み、作品に心理的な奥行きを与えています。
同時開催となるミヤケマイ新作木版画展「B面の猫」では、美術家ミヤケマイによる、伝統的な木版画の技法によって制作された作品を展覧いたします。B面の猫と題した木版画は、二月、六月、八月、十月、十一月それぞれを猫の姿を通して描いています。日本人にとって猫は古くから生活の中に馴染む身近な存在であり、江戸時代後期には歌川国芳ほか多くの浮世絵師が猫をモチーフとして描いてきました。季節や暦の移り変わりに鈍感になる現代において、昔ながらの日本の感性に立ち戻ることができる作品です。
加納典明(Tenmei Kanoh)
1942年愛知県生まれ。名古屋市立工芸高等学校産業美術科卒業後、小川藤一氏、杵島隆氏に師事。独立後はフリーの写真家としてファッション・広告業界などで活躍。64年、アサヒカメラに掲載した「テオ」を始め、「平凡パンチ」のグラビアページを主な活動の場としてヌード作品を次々発表。69年、「平凡パンチ」のニューヨーク特集の為渡米、当時のユースカルチャーを撮影。この時代を体現したパフォーマーらが集うオージー・パーティを激写したシリーズ「FUCK」により、一躍脚光を浴びる。「月刊THE TENMEI」(93~95年)は70万部の大ヒットとなり、過激なヌード表現で物議を醸す。以後、数々の重要な写真と絵画を発表、またテレビ、映画など様々な分野で活動した加納典明は、戦後日本マスメディアの変遷に大きく貢献した写真家である。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞等、受賞多数。
1942年 愛知県名古屋市生まれ
1960年 名古屋市工芸高等学校を卒業
名古屋市在住 小川藤一氏に1年間師事
1962年 上京 杵島隆氏に2年間師事
以降フリーランスでコマーシャルフォト及び、広告制作、TVCF、写真撮影を主な仕事とする
1969年 「平凡パンチ」(平凡出版社) ニューヨーク特集
1970年 「11PM」(準レギュラー)
1974年 「傷だらけの天使」出演
1986年 石原慎太郎「マリアナ環礁アドベンチャー」(PENTHOUSE)
1992年 「加納典明の生放送テレビ」 / 映画「トパーズ」出演
1993年 「月刊THE TENMEI」創刊(竹書房) 公称70万部を売上げる
1994年 写真集「きクぜ」(竹書房)
写真集「Phantom Pain」(竹書房)
「視姦」(竹書房/奥田瑛二共著)
「SUPER TENMEI」創刊(竹書房/荒木経惟、北野武共著)
1995年 「エッセイ 殴ったろか!」(主婦と生活社)
1996年 写真集「ナイフ -清春-」(竹書房)
1997年 SPEED写真集「SPEED」(ワニブックス)
1998年 沖縄アクターズスクール写真集「bb」(小学館)
2005年 「あらかじめ去勢された者たちへ」連載(BRIO)
2000年 週刊新潮「加納典明 天気晴朗なれど」連載
2012年 写真集「FUCK」(Akio Nagasawa Publishing)
2013年 電子書籍「誘うでない!」(かんき出版)
2014年 「FACE」(アサヒカメラ)
2016年 加納典明 写真集「NEW YORK 1969 Ⅱ」(SHUMOKU GALLERY)
小説・映画・DJ・レコード制作・TV出演など、写真界の枠にとらわれない数々のパフォーマンスを示す
-主な展覧会
1969年 個展「FUCK」(大日本印刷DICビル画廊, 東京)
この写真展が写真界の枠を超えた社会現象となり、一躍脚光を浴びる
1996年 写真展「さらばJAPAN」(フォトスペース光陽, 東京)
1997年 写真展「沖縄アクターズスクールの夏」(京都アバンティビル, 京都)
2006年 「写真家親子の肖像」展(CANON GALLERY銀座・梅田・福岡・名古屋・札幌・仙台)
2007年 加納典明写真展:加納典明とは?-生まれた時代への責任-(CANON GALLERY銀座・梅田・福岡・名古屋・札幌・仙台)
2011年 加納典明 個展「片目のツァラトゥストラ」(名鉄百貨店 クローバーサロン, 名古屋)
師匠・故 杵島隆氏との二人展「SCANDAL extra 杵島隆×加納典明」(BLD GALLERY, 東京)
2012年 「愛、そして愛。奇跡のサイレンサー」展(@btf, 東京)
2012年 キヤノン写真展「カオ」(CANON GALLERY銀座・梅田・名古屋・札幌)
2013年 個展「神威龍」(新光三越/TIVACギャラリー, 台湾)
個展「FUCK」(between gallery, パリ)
2015年 加納典明 「-18歳の静物-/TENMEI KANOH -still life-」(SHUMOKU GALLERY, 名古屋)
加納典明 「三里塚1972」(禪フォトギャラリー, 東京)
2016年 TENMEI KANOH 「NEW YORK 1969」(SHUMOKU GALLERY, 名古屋)
「GROUND ZERO N.Y. 加納典明写真展」(CANON GALLERY名古屋)
「四谷シモン+細江英公、沢渡朔、加納典明 展」(Akio Nagasawa Gallery Ginza, 東京)
2017年 加納典明 「絶夜」(禪フォトギャラリー, 東京)
「TENMEI × SIMON/加納典明×四谷シモン」(SHUMOKU GALLERY, 名古屋)
2018年 加納典明 「TENMEI KANOH -ピンクの犬-」(名鉄百貨店, 名古屋)
2019年 加納典明 「ピンクの犬/TENMEI KANOH -PINK DOG-」(弥栄画廊, 東京)
「テンメウ(TENMEI)×シモン(SIMON)」(弥栄画廊, 東京)
2021年 加納典明 「FUCK」(YUKIKOMIZUTANI, 東京)
加納典明 「PINK DOG」(弥栄画廊, 東京)
「1986 マイアミ」
30P、アクリル+インクジェットプリント
「2015 軽井沢」
40P、アクリル+インクジェットプリント
「2015 NY」
40M、アクリル+インクジェットプリント
「2015 NY」
30M、アクリル+インクジェットプリント
「2015 福島」
50F、アクリル+インクジェットプリント
「2015 NY」
40M、アクリル+インクジェットプリント
ミヤケマイ(Mai Miyake)
日本の伝統的な美術や工芸の繊細さや奥深さを過去・現在・未来をシームレスにつなげながら、物事の本質や表現の普遍性を問い続ける美術家。一貫したたおやかな作風でありながら、鑑賞者の既成の価値観をゆさぶり、潜在意識に働き掛ける様な作品で高い評価を得る。斬新でありながら懐かしさを感じさせるタイムレスな作品は、様々なシンボルや物語が、多重構造で鑑賞者との間に独特な空間を産み出す。媒体を問わない表現方法を用いて骨董・工芸・現代美術・デザイン、文芸など、既存の狭苦しい区分を飛び越え、伝統と革新の間を天衣無縫に往還。
2005年 水戸芸術館 現代美術ギャラリーにて個展「クリテリオム65」開催 Shanghai Duolun Museum of Modern Artにて作品展示(中国/上海)
2006年 個展「在る晴れた日」(東急Bunkamuraギャラリー)
2007年 世田谷美術館 ミヤケマイ《ルナパーク》開催
シャネルとのコラボレート
エルメスとのコラボレート
国連本部の依頼によりミヤケマイが制作した作品がノーベル賞受賞のエルバラダイ氏へ贈呈
2008年 パリ国立大学美術大学大学院に留学 個展「ココでないドコか」髙島屋 新宿店・東京店・京都店・横浜店 巡回
イタリアの美術雑誌『Mood』summer2008号にて草間彌生・村上隆らと共に 「日本の星」として大きく紹介される
2010年 ドゥ・ラ・メールから女性芸術家賞を受賞
2012年 個展「ミヤケマイ・マイマイルーム」(海の見える社美術館・広島)
ロンドンにて開催「アジアンアートフェア」にて木版画集「七日の猫」発表 個展「Dead Angle」(英国・ロンドン/ICN gallery)開催
2013年 ポーラ美術館(神奈川)にて個展「神は自らを助くるものを助ける」開催
木版画集「七日の猫」が政府買上となり、首相官邸に展示される
第55回ヴェネツィア・ビエンナーレCollateralEvent『IMAGOMUNDI』(ベネトンコレクション展)に出品
2015年 大分県立美術館の依頼により作品を制作、永久所蔵作品として購入収蔵される
2016年 Bulgari logo.svg ブルガリ・アウローラローマの女神アワード 第1回受賞者として選ばれる
2017年 日本橋髙島屋美術部創設110年記念ミヤケマイ個展「十二進法」開催
2018年 リニューアルオープンの「SHISEIDO THE STORE」(銀座)のアートディレクターに就任
マルセル・ワンダー/須藤玲子/ミヤケマイ 三人展(大分県立美術館)
釜山ビエンナーレ(韓国)に日本代表として草間彌生氏と共に出品(釜山市美術館)
日中韓のアートが出会う・東アジア文化都市展に現代茶室を展示(金沢21世紀美術館)
2019年 二条城・世界遺産登録25周年記念「時を超える:美の基準」ICOM京都大会に出品
2020年 Christmas Smile展 チャリティーオークション(ポーラ ミュージアム アネックス(東京)
さいたま国際芸術祭2020にて旧大宮区役所(埼玉)で展示 神宮の杜芸術祝祭「紫幹翠葉−百年の杜のアート」(明治神宮ミュージアム)
「B面の猫-如月」
120部、16.0×41.5㎝、木版画、2021
「B面の猫-水無月」
120部、16.0×41.5㎝、木版画、2021
「B面の猫-葉月」
120部、16.0×41.5㎝、木版画、2021
「B面の猫-神無月」
120部、16.0×41.5㎝、木版画、2021
「B面の猫-霜月」
120部、16.0×41.5㎝、木版画、2021
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