池内 信介
1984年福岡県生まれ。独学で彫金技術を得て彫金作家として活動する傍ら、表現の可能性を平面や立体に拡げ、現代アーティストとして活動。特殊樹脂を用いたミクストメディア作品は、金属特有の流動的な質感を瑞々しいままに、無機質である素材を立体的で肉感のある有機質にとらえ直した作風で、生命の根源エネルギーやその起源が拡大していく様を表現している。
Untitled C
技法ミクストメディア
サイズ91.0×72.7
制作2022
Untitled B
技法ミクストメディア
サイズ91.0×72.7
制作2022
Untitled E
技法ミクストメディア
サイズ22.7×15.8
制作2022
Untitled D
技法ミクストメディア
サイズ91.0×72.7
制作2022
Untitled G
技法ミクストメディア
サイズ53.0×45.5
制作2022
Untitled A
技法ミクストメディア
サイズ91.0×72.7
制作2022
アトリエに流れる
ジョン・レノンの意図
池内 信介の芸術性
池内信介本人の口から自身の作品の芸術性を語るとき、その口は実に重い。アトリエでは池内の言葉の代わりにジョン・レノンの“Working Class Hero”が流れている。
池内の創作は単色の彩からカラフルの彩を経て明るく開かれた白へ向かおうとしているように思える。これについても池内はその変遷の背景を何も語らない。何度取材してもやはりそこに流れている楽曲は、ジョン・レノンの“Working Class Hero”なのである。
あらゆる光のスペクトルが収束されて
白になったかのような
ビートルズのアルバム
「White Album」
ビートルズが通称「White Album」と呼ばれる「The Beatles」というアルバムを発表したのが1968年。ビートルズの数あるアルバムの中でも決して評価が高いとは言えないが、実はファンの間では特別な位置にある。
時はサイケデリックアート全盛の時代。ポップアートの名付け親として後に世界文化賞も受賞する著名な現代アーティスト・リチャード・ハミルトンが、デ・クーニングに強く影響を受けた元美術学生であったポールと共に制作した「White Album」は、サイケデリックアート全盛の時代にあらゆる光のスペクトルが収束されて白になったかのように、そこにはロックもポップもフォークもバラードもクラシックもレゲエもアヴァンギャルドに収束され、古き良きビートルズも未来のビートルズも混在する。
John and Yoko
時を同じくして、ビートルズから距離を置き始めていたジョンは、美術学生時代から興味のあった東洋美術の影響でオノ・ヨーコに出会う。ジョンは、禅や空の概念を表現した現代美術を展開するオノ・ヨーコの世界に徐々に嵌っていき、ビートルズからソロへ、時代は国家から個へ移行した。
池内の創作が単色の彩からカラフルの彩を経て明るく開かれた白へ向かう変遷は、ソロとなったジョンが脱ビートルズの楽曲で個を確立していった変遷、まさにビートルズのアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」から「White Album」を経てソロとなったジョン・レノンかのようである。
ジョン・レノンの楽曲は
池内の創作の変遷のヒント
池内のアトリエで常に流れているジョンの楽曲は、池内の創作の変遷のヒントとなる。おそらく池内の創作の先にきっとジョンのソロ・シングル“(Just Like) Starting Over”が待ち受けているであろうと感じずに入れない。明らかに我々は今、池内の作品の中に70年代を感じ、そこを通り抜けて80年代の光を見ているのではないだろうか。
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